レースゲームで速さを左右する要素としてあまり考えていなかったギアチェンジなのですが、検証した結果GTsportでは充分に要素になりうることがわかりました。
よく理解すれば1周で0.3~1秒くらい速くなる可能性は大いにあります。
グランツーリスモSPORTでの一般的なシフトアップは、インジケーターの右側いっぱいになって点滅したらギアチェンジします。
それでもいいのですが、80点くらいかなという印象です。
詳細な方法は後述しますが、まずおさえておきたいのは最適なシフトアップは、インジケーターが点滅したらとか一様な定義はなく、車種によって異なるということです。
もちろん車種によってはインジケーターが点滅したらシフトアップで問題のないこともあります。
この記事を書くきっかけになったのは、先日グランツーリスモSPORTで凄腕のドライバーの映像をみてからです。
凄腕ドライバーというのは現在行われているシリーズでTOP5までに入ったことのある人です。
その方の運転がうまいのは当たり前なのですが、シフトアップをインジケーターの真ん中より少し右に行ったらシフトアップしていました。
それを見たときに、まじかよ・なにそれ・本当? と思いました。
その動画がこちら↓
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それからすこし時間をかけて検証した結果を掲載いたします。
目次
シフトダウンについて
タイトルをシフトチェンジにしているのでシフトアップだけについて書くつもりでしたが、シフトダウンのことも簡素に説明します。
ほとんどの方はご存知でしょうが、まれにシフトダウンがラフな方を見かけます。
それは減速時に連打して所定のギアまで落としている人ですね。
そのような方法ではエンジンブレーキが全くといっていいほど効きません。
したがって、シフトダウンは急な速度減少を伴うため難しいですが、オーバーレブさせずに少しずつシフトダウンすることが望ましいです。
最適なシフトアップの概要
N○○〇系(ノーマル車)
数字が小さくなるほど高く引っ張り(インジケーターが点滅してもしばらく引っ張る)、数字が大きくなるほど点滅もしくは点滅する手前でよい傾向になります。
Gr.4・3系
それぞれの車種により異なりますが、グレードが上がるごとにインジケーター手前でのシフトアップの方がよい傾向がうかがえます。
Gr.X系、Gr.1系
車種ごとにより個性が著しく異なるため、コメントするのは難しいです。
しかし、その中でもカートだけはほぼインジケーター点滅をシフトアップの目安にしてよいです。
4速とか5速の場合は気持ち引っ張り目がよいです。
シフトアップ回転数の差による速さの検証結果
検証条件(合計4種類のデータ)
・車種はGr.3 メルセデスベンツ AMG GT3’16
・トラクションコントロール(TCS)は2と0の2種類
・ギアチェンジのタイミングはインジケーター右側いっぱいまでいき点滅してからと
凄腕ドライバーが行っていたインジケーター真ん中より少し右側に行った場合
・サーキットはマウントパノラマ モーターレーシングサーキットの第一セクション(約19秒)
表1. 上記の条件によるデータ
TCS=2 点滅チェンジ |
TCS=2 |
TCS=0 |
TCS=0 |
19.299 |
19.115 |
19.222 |
19.317 |
19.164 |
19.127 |
19.197 |
19.163 |
19.306 |
19.258 |
19.215 |
19.266 |
19.200 |
19.146 |
19.239 |
19.313 |
19.187 |
19.291 |
19.256 |
19.057 |
19.380 |
19.347 |
19.309 |
19.245 |
19.297 |
19.109 |
19.113 |
19.333 |
19.206 |
19.156 |
19.267 |
19.107 |
19.380 |
19.248 |
19.144 |
|
19.090 |
19.263 |
||
19.151 |
19.152 |
||
19.109 |
19.227 |
||
19.136 |
19.258 |
||
19.168 |
19.055 |
||
19.269 |
19.175 |
19.227 |
19.207 |
青太字はセクションベスト
データよりギアチェンジのタイミングにより19秒と短いセクションで0.1秒ほど速くなりやすいことがわかります。
ちなみにTCS=0は現在練習中なので、参考程度にしていただければと思います。
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最適なシフトアップのための準備
メルセデスベンツ AMG GT3’16を例にとり最適なシフトアップ回転数を考察します。
まず標準状態のギア比を表にします。
表2. ギア比
1速 |
3.000 |
2速 |
2.125 |
3速 |
1.667 |
4速 |
1.381 |
5速 |
1.183 |
6速 |
1.026 |
これから変速した場合の回転数の変化を計算すると以下のようになります。
表3.シフトアップ後の回転数
シフトアップ前の回転数 |
回転数の |
|||||||
6,900 |
7,000 |
7,100 |
7,200 |
7,300 |
7,400 |
7,500 |
||
92% |
93% |
95% |
96% |
97% |
99% |
100% |
||
1→2速 |
4,900 |
5,000 |
5,000 |
5,100 |
5,200 |
5,200 |
5,300 |
29% |
2→3速 |
5,400 |
5,500 |
5,600 |
5,600 |
5,700 |
5,800 |
5,900 |
22% |
3→4速 |
5,700 |
5,800 |
5,900 |
6,000 |
6,000 |
6,100 |
6,200 |
17% |
4→5速 |
5,900 |
6,000 |
6,100 |
6,200 |
6,300 |
6,300 |
6,400 |
14% |
5→6速 |
6,000 |
6,100 |
6,200 |
6,200 |
6,300 |
6,400 |
6,500 |
13% |
表の見方:2速から3速に7,300回転でシフトアップすると5,700回転になり、回転数の落ち込み率は22%(1-1.667/2.125)となります
回転数の落ち込み率なんて言い方するかわかりませんが、結果を導き出すのに重要な数値です。
次に該当車種のパワー曲線をテレビモニターやディスプレイに表示します。
それから図4にするため以下の準備を行います。
100円ショップなどで購入可能なクリアータイプの下敷きと油性ペンと定規が必要です。
(定規は油性ペンで汚れてもよいものを用意しましょう)
透明な下敷きに赤や黒の線を5%間隔に記入します。
それを画面の枠にセロテープなどで留めます。
図1.縦罫線のクリア下敷きを取り付けた状態
図2.クリア下敷きを使わない状態(使わない時は壁面にもたれさせておきます。)
最適なシフトアップの導き方
上記の方法で作成したものをパワー曲線に合わると以下のようになります。
図3.パワー性能曲線図+お手製縦線クリア下敷き
ここから最適なシフトアップを導きます。
例. 3速から4速にシフトアップする場合
表3.から回転数の落ち込み率は17%です
モニターに定規(図4.の青線)をあて、上がっているところとと下がっているところの交点が17%になる位置を見つけます。
その時の右側のパワー曲線と定規の交点(図4.の黄色線)がシフトアップの位置になります。
大体96%であることが読み取れます。
このパワーグラフは1,000-7,500回転を表していますので、7,200回転(1,000+6,500×0.96)が最適なシフトチェンジになります。
図4.パワー曲線に定規をあてているイメージ
メルセデスベンツ AMG GT3’16の最適なシフトアップのまとめ
これまでの計算から各ギアの最適なシフトアップ回転数は以下のようになります。
表4. メルセデスベンツ AMG GT3’16のシフトアップ回転数
1→2速 |
7,200 |
2→3速 |
7,100 |
3→4速 |
7,000 |
4→5速 |
6,900 |
5→6速 |
6,800 |
シフトインジケーターであらわすと以下のようになります。
右から1→2速、2→3速、3→4速、4→5速、5→6速となります。
1→2速はあまり使用機会が少ないですし急激に回転数が上がるので、インジケーターが点滅したらすぐシフトアップでよいです。
簡素的に覚えるのであればインジケーター右端と真ん中までを4等分すればよいでしょう。
このシフトアップパターンは冒頭にも書きましたが、どの車にでもあてはまるわけではないのでお気をつけください。
と、これで記事をアップしようと思ったのですが、念のためプレイして確認することにしました。
すると・・・・・、意外な結果になりました。
つづく
実際にプレイしてみると
上の結果でプレイしてみると・・・・・遅くなりました。
あれっ、絶対にインジケーターより手前の方が速いんだけどなと思っていると、結果的に冒頭に紹介した凄腕プレイヤーのシフトアップにたどり着きました。
このように上位の方は、理論的もしくは感覚的にどこでシフトアップしたら最善なのかわかるんですね。
すごいの一言に尽きます。
メルセデスベンツ AMG GT3’16のシフトアップはインジケーターの以下のあたりがおすすめです。
(5→6速は少し引っ張ったほうがよいでしょう)
結言としてシフトアップがうまくなる方法をご紹介します。
まず、これから運転する車のパワー曲線を見ましょう。
その時に確認すべき項目は、パワーカーブの形状からおおよそのシフトアップ後の回転数と最高回転数の状態から、どのあたりでシフトアップすべきかおぼろげに見つけます。
コースインしたら最初にインジケーター点滅でシフトアップして比較できるタイムを作製します。
また、インジケーターが点滅する回転数がパワーカーブに対してどこなのか確認しておきましょう。
そのあとにシフトアップのタイミングをずらしたときに、長い直線で加速が鋭くなるか鈍くなるかベストラップ時とのタイム差で確認します。
理論的に考えても実際はずれることはよくあるので、このようにするのが最善と考えられます。
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